証券アナリストを受験した当時の私は、振り返って考えると効率的な勉強法を実践できていませんでした。
そこで、自らの経験を基に1次・2次試験それぞれの具体的な勉強法をまとめました。
これから証券アナリスト試験を受験する方の「具体的にどのように勉強していけばよいのか?」「何点を取れば合格できるのか?」「どこが頻出分野なのか?」等の疑問にお答えするため、1次・2次試験それぞれの効率的な勉強法や無理なく合格するための得点戦略などを紹介します。
どのように勉強を進めていけばいいかわからない方でも、この記事を読めば最も効率的な勉強法を実践できるようになりますので、是非最後までお読み頂ければと思います。
この記事を最後まで読めば、証券アナリストの最も効率的な勉強法(1次・2次)について完全に理解できます!
証券アナリスト試験を受験する方の参考になれば幸いです。
- 証券アナリスト試験の勉強法(1次・2次)
- 各科目の重点分野(頻出分野)
- カリキュラム変更による試験範囲の変更点
- 2次試験の得点戦略
- 試験勉強を継続する4つのコツ
ご参考までに筆者のプロフィール紹介です。
- 大学卒業後、新卒で金融機関に入社
- 入社から3年後にほぼ知識0から証券アナリスト試験に一発合格
- 1次、2次試験とも2か月程度の勉強時間(2次試験対策はTACの通信講座を利用)
1. 証券アナリスト1次試験の勉強法
まずは、1次試験の重要な特徴についてです。
1次試験に合格するためには試験の特徴をしっかりと把握することが重要です。
(1) 1次試験の特徴
1次試験の重要な特徴は上記の通りです。
この中で最も大事なのは "合格率約50%" という点で、ここから「受験者の平均点を目指せば合格できる」ことがわかります。
なにも全問正解を目指す必要はありません。
要するに、過去問に無い問題は他の受験者もほぼ解けないので切り捨ててOKです。
逆に言えば過去問にある問題を必ず解けるようにしておくことが必要です。
次に、どのくらい解答できる状態を目指せば受験者の平均に到達するか(合格できるか)という点について解説します。
(2) 試験当日までに目指すレベル
確実に合格するために試験当日までに目指すレベルは、ズバリ「半分の問題を確実に正解出来るレベル」です。
合格ラインは6割なので、半分の問題を確実に正解できれば、残りは4択問題で適当に回答しても合格ラインに達します。
分からない問題も、選択肢を3つか2つに絞れるとより余裕をもって合格することができます。
(3) 具体的な勉強法(対策方針)
続いて、「具体的にどのように勉強していけばよいのか?」という疑問にお答えしていきます。
② TACの過去問を使って過去問3年分に取組む
③ 過去問でわからない箇所はTACのテキストで確認
④ 短期集中!試験前の1か月は1日3時間勉強
⑤ 勉強の順序は「財務分析」⇒「経済」⇒「証券分析」がおすすめ
では、順番に解説していきます。
① 協会のテキストは使わない
協会から送られるテキストは試験にほとんど出ない範囲も多く、正直分かりにくいので試験対策上は全く使用しなくてOKです。
むしろ協会から送られるテキストで試験勉強をすると頻出分野の特定も難しく、膨大な時間がかかってしまうのでやめましょう。
じゃあ、どのテキストを使えばいいの?
TACが出しているテキスト&過去問題集を使います
では、何を使って勉強していくのかというと、TACの総まとめテキスト(全3冊)と過去問題集(全3冊)です。
これらは一次試験に合格するために必須の教材です。
これがなければ何も始まりませんので、学習を始める前にまずはこれら6冊を購入しましょう。
なお、2022年現在、証券アナリスト対策試験対策のテキストはTACからしか出版されていませんので迷う必要はありません。
1次対策_総まとめテキスト(科目別)
・過去の出題一覧および重要度表付き
・重要論点チェックリスト付き
① 科目1_証券分析とポートフォリオ・マネジメント
② 科目2_財務分析/コーポレートファイナンス
③ 科目3_市場と経済の分析/数量分析と確率・統計
一次試験_過去問題集(科目別)
直近5回分の過去試験問題が収録されています。
④ 過去問題集_証券分析
⑤ 過去問題集_財務分析
⑥ 過去問題集_経済
メルカリの中古のテキストを買ってもいい?
2022年試験はカリキュラム変更もあるので最新版を買うのがベターです
書店には意外と売られていない!
証券アナリスト試験は金融業界では有名ですが、世間一般的な知名度はそれほど高くありません。
筆者の経験上、都内でも超大型書店でないと販売されていないので、ネットでさくっと買うのが効率的でおすすめです。
直前だと売り切れになる場合もあるので余裕を持って購入しましょう!
関数電卓を用意する
また、証券分析ではやや複雑な計算を行うため、関数電卓が必要です(普通の電卓でもできないことはないですが、貴重な試験時間の大幅な時間短縮に繋がります)ので、こちらも最初に購入しておきましょう。
関数電卓って何?どうやって選べばいいの?という方はこちらを参考にしてください。
② TACの過去問を使って過去問5回分に取組む
TACの教材を揃えたら、TACの過去問を使って過去問(5回分)を解いていきます。
最初はわからない問題が多いと思いますが、すぐに解説を読んで次に進んでいきます。ある程度進めていくと頻出箇所がわかってくると思います。
もちろん過去問も全て出来るようになる必要はなく、頻出分野を重点的に対策しておけばOKです。
各科目の頻出分野については次の目次((4) 各科目の重点分野)で解説していきます。
③ 過去問でわからない箇所をTACの総まとめテキストで確認
過去問の解説を読んでも分からない箇所はTACの総まとめテキストを読んで理解していきます。
TACの過去問と同様、このテキストも必須教材です(3科目とも必須)ので、合格に必要な経費と考えて迷わず購入しましょう。
なお、時間に余裕がある場合は過去問に取り組む前に総まとめテキストをざっと読んで全体を理解してから、過去問に取り組んでいくとさらに理解が深まります。
④ 短期集中で試験前1か月間は1日3時間程度の勉強を行う
これはちょっとしたコツになりますが、1日30分~1時間程度の勉強を長期間続けるよりも、短期間で集中(1日3時間程度)して勉強してしまった方が知識として定着しやすいと私は思いますので、何とか時間を捻出して短期集中で取り組まれることをおすすめします。
筆者推奨の受験スケジュール※で一次試験を2回に分けて受験する場合、それぞれの試験前1か月間は1日3時間程度の勉強が必要です。
※ 科目2(財務分析)と科目3(経済)を春に受験、科目1(証券分析とポートフォリオ・マネジメント)を秋に受験
同様に、3科目を一度にで受験する場合は試験前2か月間は1日3時間程度の勉強時間が必要と考えてください。
なお、平日は仕事などでどうしても3時間の勉強時間を確保出来ない場合は、休日で必ずカバーするようにしましょう。
1日3時間の勉強を継続するコツについては、この記事の最後で詳細を解説していますので、良ければ参考にしてみてください。
⑤ 勉強の順序
続いて、1次試験の勉強の順序についてですが、私のおすすめは「科目2(財務分析)」⇒「科目3(経済)」⇒「科目1(証券分析)」 です。
人それぞれ得意不得意があるかと思いますが、一般的に「財務分析」が最も取り組みやすい科目です。
逆に、「証券分析」は試験範囲が広く、挫折する人が多いので途中挫折しないためにもこの順番での勉強・受験をおすすめしています。
また、 科目1(証券分析) は2次試験でも最もウェイトが大きい科目になりますので、後に受験して1次試験の内容を少しでも多く頭に残していることが2次試験の勉強を楽にしてくれます。
そういった意味でも証券分析は一番最後に勉強するのが効率良いのです。
まとめ:学習に取り組む順序
① 科目2_財務分析/コーポレート・ファイナンス
② 科目3_市場と経済の分析/数量分析と確率・統計
③ 科目1_証券分析とポートフォリオ・マネジメント
(4) 各科目の重点分野
続いて各科目の重点分野を挙げていきますので、試験勉強の際はこれらの分野を重点的に対策するようにしましょう。
① 科目1の重点分野
<出題項目の重要度>
項目 | 重要度 |
■ポートフォリオ・マネジメント リターンとリスク、最適ポートフォリオ、 計量分析と統計学 | 高 |
■債券分析 債券価格と利回り、リスクと格付、 デュレーションとコンベクシティ | 高 |
■ファンダメンタル分析 産業分析、収益性分析、財務安全性分析、 キャッシュフロー分析、サステナブル成長率 | 高 |
■株式分析 投資尺度、配当割引モデル、残余利益モデル | 高 |
■デリバティブ分析 投資戦略、オプション評価モデル、先物理論価格 | 高 |
■証券市場の機能と仕組み | 中 |
「証券分析とポートフォリオ分析」は重点分野が多く、また、他の科目よりも出題範囲が広く大変ですが、上記の赤字分野を中心に対策することで効率良く勉強を進めましょう。
なお、私が1次試験の証券分析の勉強をしていた当時、「こんな勉強ノートが欲しかったな」というまとめノートを作成しました。
現在、無料公開中なので、勉強中の方は是非併せて参考にしてみてください。
② 科目2の重点分野
<出題項目の重要度>
項目 | 重要度 |
財務会計総論 | 中 |
資産会計 | 中 |
負債会計 | 低 |
純資産会計 | 低 |
損益会計 | 中 |
企業結合会計 | 中 |
財務諸表分析 | 高 |
株式価値評価 | 高 |
重要度高の「財務諸表分析」と「株式価値評価」は配点のウェイトも高く、「財務分析」の中では最も力を入れるべき項目になっています。
③ 科目3の重点分野
<出題項目の重要度>
項目 | 重要度 |
ミクロ経済 | 高 |
マクロ経済 | 高 |
金融経済 | 中 |
国際金融 | 中 |
経済は他の科目に比べて的を絞りづらい科目ですが、「ミクロ経済」と「マクロ経済」は特に重要ですので、重点的に対策しておきましょう。
(5) 2022年春試験からの変更点
2022年の春試験からは試験科目及び出題範囲が下記のように変更されています。
ざっくり言うと、従来は2次試験の範囲であった職業倫理等が1次試験でも出題されるというものです。どのみち2次試験で勉強する内容ですので、そこまで大きな負担増ではないと思いますが、対策を忘れないよう注意してください。
2. 証券アナリスト2次試験の勉強法
(1) 2次試験の特徴
2次試験の重要な特徴は上記の通りです。
要するに、出題範囲は「1次試験」+「職業倫理・行為基準」で、全科目記述式、半分程度は過去問と同様の問題が出題されるということを抑えておきましょう。
なお、2023年の試験からは2次試験の出題範囲が下記のように変更されますので、ご注意ください。
ざっくり言うと、各分野で出題されていた確率・統計の問題が1つの出題分野として確立されたという感じです。これまでも学習していた内容ですので、そこまで大きな負担増ではないと思います。
(2) 具体的な勉強法(対策方針)
① 得点戦略
証券アナリスト2次試験は4科目420点満点で以下のような配点となっています。
科目 | 配点(420点満点) |
証券分析とポートフォリオ・マネジメント | 210点~230点 |
コーポレート・ファイナンスと企業分析 | 90点 |
職業倫理・行為基準 | 60点 |
市場と経済の分析 | 40点~60点 |
ここで重要なことは合格ラインである210点をどのように狙うかということです。
人それぞれ得意不得意あるかと思いますが、一般的な狙いやすさでいうと以下のようなパターンが良いと思います。
<得点戦略例>
科目 | 配点 | 目標得点 |
証券分析とポートフォリオ・マネジメント | 210点~230点 | 4割:84点~92点 |
コーポレート・ファイナンスと企業分析 | 90点 | 7割:63点 |
職業倫理・行為基準 | 60点 | 9割:54点 |
市場と経済の分析 | 40点~60点 | 2割:8点~12点 |
合計 | 420点 | 5割:210点 |
合格ラインが5割だからと言って全科目まんべんなく5割を目指してはいけません。
ポイントは「職業倫理・行為基準」で出来るだけ点数を稼ぐということです。「職業倫理・行為基準」は他の科目に比べて圧倒的に得点しやすいため、徹底的に対策しましょう。
また、「証券分析とポートフォリオ・マネジメント」と「市場と経済の分析」は範囲が非常に広い上に、意味不明な問題も多く、対策がしにくいので高得点は狙えません。
「職業倫理・行為基準」で9割以上得点できると、他の科目で必要な点数が上記の通り現実的な数字になってきます。
2次試験は特にこのような得点戦略を頭に入れた状態で勉強に励む事が重要となります。
② 必要な教材を揃える
2次試験も1次試験の時と同様、協会のテキストは使用しません。
下記のTACのテキスト(3冊)と過去問題集(1冊)の計4冊を使って勉強していく必要がありますので、まずはこれらを揃えましょう。
本屋だと都内でもかなり大きい店舗でないと売ってないので、ネットでさくっと買うのがおすすめです
<2次試験 総まとめテキスト(3科目分)>
① 証券分析 3,520円(税込)
② 財務分析 3,300円(税込)
③ 市場と経済 3,080円
④ 2次試験 過去問題集 4620円(税込)
⑤ その他 関数電卓
1次試験の際に関数電卓を購入していない方は関数電卓を購入しておきましょう。
普通の電卓でもできないことはないですが、大幅な時間短縮に繋がります。
関数電卓の必要性やおすすめ機種等はこちらを参考にしてください。
③ TACの通信講座受講
TACの教材に加えて、2次試験においては、TACの通信講座を利用することを強くおすすめします。
筆者も2次試験でTACの通信講座を利用しました!
もちろん独学で合格を目指すこともできると思いますが、TACの通信講座を利用することで、自力で勉強するよりも圧倒的な効率化を図ることが出来ます。
TAC通信講座のメリット
TACの通信講座は専門の講師が授業をしてくれる(もしくは授業映像を視聴する)のですが、やはり文字だけのテキストよりもかなり理解度が高まりますし、重点ポイントも把握しやすいです。
TACの通信講座は安い訳ではないので、費用的には苦しいところですが最短で合格するために「勉強時間」と「合格率」を買うと考えて、割り切ってしまうことをおすすめします。
一発合格するためと考えたらコスパは悪くない!
TACの講座は多くのコースがあって迷ってしまいますが、比較的安い(それでも10万円)「スーパー速修本科生」コース等で十分かと思います。
教育訓練給付制度を活用
また、厚生労働省が実施する「教育訓練給付制度」を利用すると、受講料の一部が戻ってくる可能性があります。
返金額はなんと最大10万円です!!
こういった制度をうまく活用しながらTACの利用を検討してみてください。
詳細はこちらで説明しています。
オススメの受講形式
いずれのコースを選んだ場合も、通学の時間を省くためWebかDVD形式で受講した方がよいです。
試験前はただでさえ時間が足りないので、学習以外の時間はなるべく排除するよう心掛けることが大切です。
TACの通信講座一覧は以下のリンクからご確認頂けます。
<TAC 通信講座>
TACの通信講座について、より詳しい情報や実際に受講した感想等は下記の記事にまとめていますので、良ければ併せてご覧ください。
③ TACの過去問を使って過去問3年分に取組む
TACの過去問題集を使って過去問をガシガシ解いていきましょう。実践あるのみです。
最初はわからない箇所も多いと思いますので、解答やテキスト、TAC通信講座(受講されている方)で確認しながら進めていきます。
④ 過去問頻出箇所を把握
過去問を解くうちに毎年のように出題される頻出箇所が分かってきます。
それらの問題は必ず解けるようにTACのテキスト等で重点的に理解を深めましょう。
頻出箇所といっても2次試験では全く同じ問題はほとんど出題されないので、暗記ではなく、理解して記述できるようになっておくことが必要です。
⑤ 短期集中で試験前2か月間は1日3時間程度の勉強
こちらも1次試験と同様で、1日30分~1時間程度の勉強を長期間続けるよりは、短期集中(1日3時間程度)で勉強する方が知識として定着しやすいと私は思いますので、何とか時間を捻出して短期集中で取り組まれることをおすすめします。
私が実践した「勉強を継続するコツ」についてもこの記事の最後でご紹介していますので、良ければ参考にしてみてください。
⑥ まずは「職業倫理・行為基準」をマスター
上記でもお伝えしましたが、「職業倫理・行為基準」は最も対策がしやすく、勉強時間に対する得点期待値が最も高いです。
ここで高得点を取らなければ試験合格が非常に困難になってしまうので、まずは10時間~15時間程度かけて「職業倫理・行為基準」で9割得点できるレベルを目指します。
「職業倫理・行為基準」はほとんど対策していなくてもそこそこ点数を取ることができますし、正直内容も面白いものでもないので、やる気が起きないかもしれませんが、合格のためにぐっと我慢です。
試験直前には必ず復習しましょう。
(3) 科目別アドバイス
① 「職業倫理・行為基準」
「職業倫理・行為基準」で得点率が低いのは絶対NG
最低9割以上の得点を目指す
この科目は他の科目と比べて難易度が低いので、そこまで勉強せずとも6~7割程度取れてしまうため、後回しにしてしまいがちです。
しかし、「職業倫理・行為基準」で得点率が低いことは試験対策上は絶対NGです。合格可能性が大幅にダウンしてしまいます。
暗記がメインでつまらない科目ですが、合格には得点源として非常に重要な科目です。
他の科目は得意不得意により、得点目標の多少の調整はあるかと思いますが、「職業倫理・行為基準」に関しては、最低9割以上を目指しましょう。
「職業倫理・行為基準」の勉強法
勉強法としては、シンプルに過去問題を解きまくるのみです。職業行為基準は試験問題に添付されますが、頻出箇所は暗記してしまうくらいの心構えでちょうどいいです。
「職業倫理・行為基準」の解答のコツ
解答のコツとしては、以下の通りです。
■難しく書く必要はない
他の科目が難しいだけに、難しく解答しようとする方もいるかもしれませんが、小学生が答えるような平易な文章で全く問題ありません。
■解答は短く簡潔に
だらだらと解答する必要もありません。
シンプルに1行でも指摘が適切なら正解になります。試験は長丁場なので出来るだけ省力化しつつ、得点していきましょう。
■解答が見つからない場合はオールマイティ条文を使う
『該当条文を複数箇所示せ』という問題で、必要な数の解答が思い浮かばない場合は、オールマイティ条文を使って解答しましょう。
オールマイティ条文とは、具体的には「2.総則」や「6.受任者としての新任義務(2)」のことを指します。
② 「コーポレート・ファイナンスと企業分析」
■出来れば7割を目指したい
「コーポレート・ファイナンスと企業分析」は、「職業倫理・行為基準」の次に高得点を狙いやすい科目です。
得点を狙いやすいといっても、簡単という意味ではなく、他の科目に比べると勉強時間に対して得点がついてきやすい(勉強時間対比獲得得点のコスパ◎)という意味です。
多少時間をかけてでも重点的に対策しておくだけの価値があります。
得点獲得率としては、配点90点のうち、7割である63点程度を何とか目指しましょう。
■毎年必ず出題される分野は最優先で取組む
出題されやすい分野とそうでない分野は割とはっきりしています。
当然ですが、毎年出題される分野は最優先で取組みましょう。
具体的には「資本コスト」や「企業価値評価」、「投資決定」、「コーポレートガバナンス」、「連結会計」、「財務諸表分析」等です。
逆にマイナーな分野は思い切って捨ててしまいましょう。
他の受験者の方も恐らく対策していないので解けません。証券アナリスト試験は受験者の平均以上(50%以上)を目指すゲームですので、ほとんどの受験者が解けないような問題を解けるようになる必要はありません。
他の受験者が解ける問題を自分もしっかりと解ければ合格です。
なお、私が2次試験の勉強をしていた当時、「こんな勉強ノートが欲しかったな」というノート(分野:コーポレートファイナンス)を作ってみました。
現在、無料公開中なので、勉強中の方は是非併せて参考にしてみてください。
③ 「証券分析とポートフォリオ・マネジメント」
■範囲は広いが目標は4割
「証券分析とポートフォリオ・マネジメント」の配点は210点~230点と二次試験全体の半分程度を占め(証券アナリスト試験なので当然と言えば当然ですが)、出題範囲は非常に広いです。
合格のためには部分点含め何とか4割程度(84点~92点)は得点しておきたいところです。
1次試験の内容と重複する部分も多いので、頑張りましょう!最後まで諦めない事が何より重要です。
■頻出分野を重点的に
「証券分析とポートフォリオ・マネジメント」も出題されやすい分野とそうでない分野は割とはっきりしています。
毎年出題される分野は以下の通りです。
マルチファクターモデル、アクティブ運用、パッシブ運用
・「債券ポートフォリオ戦略」
イールドカーブ、デュレーション、バーベル・ブレッド戦略、コーラブル債
・「デリバティブと投資戦略」
先物取引、オプション取引
・「投資政策とアセットアロケーション」
最適アセットミックス、ストラテジックアセットアロケーション、VaR
・「オルタナティブ投資」
証券化商品
・「パフォーマンス評価」
シャープレシオ、インフォメーションレシオ
このあたりをしっかり対策することで何とか4割得点できるはずです。
また、「証券分析とポートフォリオ・マネジメント」に限った話ではありませんが、試験本番では「とにかく書く」ことが非常に重要です。
解答は分からなくても、関連の公式を記載するだけでも部分点が狙えます。
たとえトンチンカンなことを書いてもマイナスになることはありません(部分点がもらえないだけ)ので"デメリットは無い"のです。時間が許す限り、とにかく空欄の解答箇所を埋めるように心掛けましょう。
なお、証券分析についても私が勉強をしていた当時、「こんな勉強ノートが欲しかったな」というノートを作ってみました。
現在、無料公開中なので、勉強中の方は是非併せて参考にしてみてください。
④ 「市場と経済の分析」
■毎年必ず出題される問題は少なく、対策困難。2割得点を目指す。
「市場と経済の分析」は40点~60点程度しか出題されない割に、範囲は非常に広く最も対策がしづらい科目と言えます。
そのため、2割程度の得点(8点~12点)を目指し、あまり時間をかけすぎないことがポイントです。
■頻出分野を重点的に
「市場と経済の分析」は対策しにくいですが、これまでの傾向から出題されやすい分野をある程度絞ることは可能です。
具体的には以下の通りです。
・「ミクロ経済学」のゲーム理論(偶数年)
・「金融政策」のマネーストックと金融政策、金利の期間構造
これらの分野を重点的に対策し、2割程度得点することを目指しましょう。
また、国際金融論は対策のしようがないので、ノー勉強でOKです。
但し、出題された場合は、無理やりでもいいので部分点狙いでとにかく何か書くようにしましょう。
なお、「市場と経済の分析」についても私が勉強をしていた当時、「こんな勉強ノートが欲しかったな」というノートを作ってみました。
現在、無料公開中なので、勉強中の方は是非併せて参考にしてみてください。
(4) 2次試験合格に必要な心掛け
証券アナリスト試験(特に2次試験)に臨むにあたり、どのような事を意識すればよいのかについてまとめてみました。
どれも当たり前といえば当たり前なのですが、具体的な勉強内容と同じぐらい重要だと思いますので、是非とも試験前に一度確認してみてください。
① 職業倫理は「絶対に」手を抜かない
本記事でも解説していますが、2次試験合格の肝はズバリ「職業倫理・行為基準」です。
「職業倫理・行為基準」で9割以上得点できないと、合格可能性がぐっと下がります。
満点を目指すぐらいの気持ちで徹底的に対策しておきましょう。
② とにかく解答欄を埋める
これも①と同じくらい超重要です。
解答が分からなくても、関連の公式を記載するだけでも部分点が狙えます。
たとえトンチンカンなことを書いてもマイナスになることはありません(部分点がもらえないだけ)ので、デメリットは無いのです。
時間が許す限り、とにかく空欄の解答箇所を埋めましょう。
③ 試験当日は最後まであがく
②に関連しますが、試験当日は終了時間まで決して諦めないことが重要です。
私が受験した時もそうでしたが、試験後半になると途中退室者が続出しますので自分も退室したくなりますが、ここはぐっと我慢です。
むしろ"他の人よりも多く得点できるチャンス"です。
この試験は受験者の平均以上に達すれば合格できる(合格率はおよそ50%)ということを頭の片隅に置いておきましょう。
また、これまで紹介してきた心掛けとは少し趣旨が変わりますが、2次試験の勉強にはTACの通信講座を利用した方が圧倒的に楽、かつ、学習時間の短縮が可能です。
受講料は少し高いので迷うところですが、その分理解が早まり、学習時間を大幅に削減できるので、価格に見合う価値はあると思います。
また、お金を掛けた分だけ"絶対に合格する“という気持ちも強くなります。
2次試験勉強中の方はぜひ一度検討してみてください。
<TAC 通信講座>
(番外編)1日3時間の勉強を継続するたった4つのコツ
証券アナリストに合格するには一般的に1日3時間程度の勉強(2~3ヶ月間)が必要だと言われています。
ただ、1日3時間もの勉強を3ヶ月間も継続することは簡単ではありません。
実際、私も勉強時間の確保と継続にはかなり苦労しました。
みなさんにはなるべく苦労してほしくないので、私が勉強を継続して行うために実践していた4つのコツを番外編としてご紹介します。
是非参考にしていただければと思います。
(1) 1日のスケジュールをあらかじめ決める
1つ目のコツはこれです。
簡単にいうと、3時間の勉強を組み入れたスケジュールを曜日ごとに作成し、スケジュール通りに行動するというものです。
例えばこんな感じです。
<例:ある平日>
6:30~7:00 勉強(いつもより30分早起きする)
7:30~8:00 勉強(通勤時間利用)
8:30~12:00 仕事
12:00~12:30 昼食
12:30~13:00 勉強(昼休憩利用)
13:00~19:00 仕事(勉強期間中は極力残業をしないようにする)
19:00~19:30 勉強(通勤時間利用)
20:00~20:30 夕食
20:30~21:00 風呂
21:00~22:00 勉強
22:00~23:00 TV、SNS等
23:30頃 就寝(7時間は睡眠時間確保)
通勤中に何気なくスマホを見ている時間や昼休憩の時間等を勉強に充てることを決めて、それ通りに行動できれば意外と1日3時間というのは確保できてしまうものです。
また、睡眠時間を削って夜遅くまで勉強する方もいますが、翌日の仕事のパフォーマンスが落ちてしまい、本末転倒なのであまりおすすめはできません。
学習期間中も少なくとも7時間程度の睡眠は確保した方が良いと思います。
なお、少し意外な注意点として、休日は平日よりも時間に余裕があるためか、平日は3時間勉強を確保できていても、休日に結果的に2時間しかできなかったみたいな事が起きたりします。
忙しい平日に休日の遅れを取り戻すのは大変です。なるべく毎日平均して3時間以上学習するようにする事が非常に重要です。
(2) 学習時間の見える化
2つ目は日々の学習時間の記録です。
やり方は手書きでもExcelでも良いのですが、毎日、その日の学習時間を記録していきます。
下記のようなイメージです。
〇月□日(月):180分
〇月□日(火):200分
・
・
・
このように学習時間の記録をつけることで、自分の頑張りが目に見えるようになり、モチベーション向上にもつながります。
また、不足分を別日で補うことも容易になりますので、騙されたと思ってぜひやってみてください。
さらに私の場合は、「学習時間の見える化」により、試験を受けるときは「これだけ学習したんだから受かるはずだ」という自信にもつながりました。
(3) 証券アナリスト受験を周囲に宣言する
証券アナリスト試験を受けることを職場の同僚や家族等に宣言しましょう。
リアルの場で宣言することが恥ずかしいという方はTwitter等のSNSを使うのも有りだと思います。
これをすることで、良い意味で自分を追い込むことができますし、受かった時に褒めてもらえるのでおすすめです。
(4) 勉強時間を目標にする
これも結構重要だと思います。
ふつうは理解度や進捗度合いを目標にすることが多いと思いますが、私はそれだと "どこまで勉強しても安心できず挫折しそう" だったので、「1日3時間勉強する」というのを目標にしていました。
理解があまり進まなくてもOKということで、とにかく勉強に時間を費やせたかどうかを目標達成の基準にしました。
こうすることでだいぶ気持ち的に楽になります。
1日3時間を勉強に充てられれば目標クリアということで、モチベーションも維持しやすいと思うのでおすすめです。
(5) 資格取得のメリットを意識する
証券アナリストは合格することだけがゴール(目的)になってしまうと、勉強のモチベーションを維持するのが難しい側面があるかと思っています。
なので、証券アナリストに合格した場合に得られるメリットを日頃から意識することで、モチベーションを維持しやすくなると思いますのでオススメです。
ちなみに証券アナリストを取得するメリットは以下のようなものです。
②名刺に記載できる
③投資や家計管理に必要な知識が身に付く
④目標に向けて努力できるクセがつく
⑤時間管理力が身に付く
⑥高い忍耐力が身に付く
証券アナリストを取得するメリット(上記メリット)については、以下の記事で詳細を解説していますので、こちらも併せてご覧ください。
まとめ
本記事では、知識ゼロから証券アナリスト試験に一発で合格した筆者の経験を踏まえた勉強法をご紹介しました。
なお、証券アナリスト試験に合格するには、通信講座の申込みから二次試験の受験まで、最短でも約17か月を要します。
スケジュールについてもあわせて確認しておきましょう。