証券アナリストの難易度(勉強時間等)

証券アナリストの難易度
スポンサーリンク

証券アナリスト試験は一般的には「難易度が高い」とされていますが、実際にはどうなのでしょうか。

本記事では、証券アナリスト試験の難易度が高いと言われる理由とその実態についてや、合格率、必要な勉強時間などについて、筆者の体験談を交えながら解説します。

証券アナリストを受験するか迷っている方や、これから受験する方の参考になれば幸いです。

この記事を読んでわかること
  • 証券アナリスト試験の難易度
  • 合格率
  • 合格点
  • 勉強時間の目安
  • 証券アナリスト資格取得のメリット
  • 証券アナリスト試験の概要
  • 証券アナリスト試験対策にオススメのテキスト


ご参考までに最初に筆者のプロフィールを紹介しておきます。

筆者のプロフィール
  • 大学卒業後、新卒で金融機関に入社
    (理系で経済や金融の知識とは無縁)
  • 入社3年目にほぼ知識0から証券アナリスト試験に一発合格
  • 1次、2次試験とも2か月程度の勉強時間
    2次試験対策はTACの通信講座を利用

1. 証券アナリストの難易度

まずは、これから証券アナリスト試験を受験する方や受験するかどうか迷っている方が一番気になるであろう試験の難易度について解説します。

一口に難易度と言っても「合格率が低い」、「試験内容が難しい」、「高得点を取らないと合格出来ない」、「試験範囲が広く学習量が多い」、「受験資格に制約がある」など、様々な切り口があります。

そして証券アナリスト試験の難易度が高いというイメージを持たれる要因は「試験内容が難しい」ことにあります

① 試験内容の難易度と実際の難易度

証券アナリスト試験の過去問をご覧いただければと思いますが、証券アナリスト試験には、例年、超難問やトリッキーな問題も出題され、試験の内容は難しいです。

しかし、あきらめる必要はありません。

「実際の難易度」について合格率を用いてご説明します。
下表に1次試験と2次試験それぞれの直近5年間の合格率をお示しします。

■1次試験の合格率推移

証券アナリスト1次試験合格率の推移


■2次試験の合格率推移

証券アナリスト2次試験合格率の推移

出典:公益社団法人 日本証券アナリスト協会

公益社団法人 日本証券アナリスト協会の発表によると、1次試験合格率は毎年50%前後で推移、2次試験合格率は45%~50%弱くらいで推移しています。

つまり、受験者の約半数が合格しています。

受験者の約半数が合格というのは他の金融系の資格と比べてもかなり高い合格率です。
例えば「簿記2級」は合格率20~30%、「FP2級」は合格率40%です。

さらに、記念受験者の数が比較的少ない(※)という条件下で約半数の人が合格していることを考慮すると、手も足も出ない試験ではないということが理解頂けると思います。
※6万円の通信教育受講というハードルがあるため

つまり、合格難易度は決して高くはないのです。

② 合格ライン

先ほど、証券アナリスト試験の試験内容は難しいと言いましたが、S難度の問題を解く力がなくても合格は可能です。
証券アナリスト試験は相対評価であるため、試験で満点を取る必要はないのです。
受験者の中で上位半分以内に入れば(=他の受験者から飛び抜けて高い点数を取る必要はなく、多くの受験者が解ける問題を解ければよい)合格は十分に可能です。



勉強中の人
勉強中の人

実際に何点取れば合格できるの?

では、試験に合格するためには具体的にどのぐらい得点すればよいのでしょうか。

試験の合否は、各科目とも上位一定割合の受験者の平均得点を基準として決定されます。

2022年証券アナリスト第一次春試験受験案内

とあるように、正確な合格点数(合格ライン)は公表されていませんが、過去の合格者のデータからおおよその合格ラインが推測できます。

◆ 一次試験の合格ライン
過去のデータを見ると、一次試験については5割後半~6割程度得点できている人が合格していますので、合格ラインの目安は6割と考えて問題ないでしょう。

◆ 二次試験の合格ライン
二次試験については、5割が合格ラインの目安と考えてください。
特に二次試験においては、どの科目で合格ラインの5割を稼ぐかという「得点戦略」の考え方が合格のカギになってきますので、しっかりと戦略立てて対策をしていきましょう。

スポンサーリンク

2. 勉強時間

証券アナリストの勉強時間

次に、合格するためには何時間くらい勉強する必要があるのでしょうか。
筆者の経験上、予備知識ゼロから一次試験に合格するための必要な勉強時間はざっくりと以下のような感じです。

① 1次試験の勉強時間

科目ごとに必要な勉強時間の目安は以下の通りです。

科目勉強時間
財務分析50時間
経済50時間
証券分析とポートフォリオ・マネジメント100時間

証券アナリストの1次レベル試験は年に2回(春・秋)受けることができ、3科目を春と秋に分散させて受験することも可能です。
3科目を一度にまとめて受験するのは負担が大きいため、仮に「財務分析」と「経済」を春に受験し、「証券分析とポートフォリオ・マネジメント」を秋に受験する場合、勉強時間を1日3時間程度とすると、それぞれ各試験前の1か月間は毎日勉強するイメージです。

受験スケジュールについての詳細はこちらで確認してください。

② 2次試験の勉強時間

二次試験は出題範囲が拡大し、記述式となるため1次よりも理解度を上げる必要があります。
二次試験に合格するために必要な勉強時間は約200時間です。
ただし、一次試験で勉強した内容(特に「証券分析とポートフォリオ・マネジメント」)がある程度頭に入っている前提です。

そのため、特に一次の「科目Ⅰ(証券分析とポートフォリオ・マネジメント)」は2次試験(毎年6月)を直前の秋に受験すると勉強の効率が良くなります。

二次試験は約200時間の勉強が必要となりますので、1日3時間程度勉強するとして試験前の2か月間は毎日勉強するというイメージです。

要領の良い方はここまでやらなくても合格できると思いますが、ギリギリ不合格というのは一番避けたい事なので、余裕を持たせて設定しています。


先ほど説明した難易度と併せて、事前に確認した上で勉強の計画を立てるようにしましょう

③ 合格のコツ

1次試験にも2次試験にも共通して言えることですが、1日30分~1時間程度の勉強を長期間続けるよりは、短期間で集中(1日3時間程度)して勉強する方が知識として定着しやすいと思いますので、何とか時間を捻出して短期集中で取り組まれることをおすすめします。

また、特に2次試験対策においては、TACの通信講座を利用することをオススメします。
独学でも頑張れば合格可能だとは思いますが、2次試験は出題範囲が広く、記述式であり1次よりも理解度を上げる必要があるため、TACの通信講座を利用した方が圧倒的にラク&勉強時間の時短&合格率UPが可能です。
私も2次試験の勉強はTACの通信講座を利用して、一発合格することができました。

<TAC 通信講座>
※早期申込みでお得になるキャンペーン等があるので、早目の検討をオススメします

受講料がネックですが、受講料の20%が戻って来る「教育訓練給付制度」の活用も視野に入れて検討してみてはいかがでしょうか。


3. 証券アナリストとは

トレード

ここまで証券アナリストの難易度や勉強時間について解説してきましたが、そもそも証券アナリストとはどういう資格なのかを改めて説明します。

既にご存じの方は次の目次まで飛ばして頂いて構いません。

証券アナリスト(CMA)とは、「公益社団法人 日本証券アナリスト協会」が実施している試験に合格すると認定される民間資格で、金融分野では国内トップレベルの資格です。

証券アナリストとは、証券投資の分野において、高度の専門知識と分析技術を応用して、各種情報の分析と投資価値の評価を行うことにより、投資助言や投資管理サービスを提供するプロフェッショナルとしての資格です。
引用元:公益社団法人 日本証券アナリスト協会

証券アナリストの金融業界における知名度は抜群で、2022年7月現在、約27,900名もの証券アナリスト資格保有者がいます。

また、日本の金融機関(銀行や証券会社、保険会社等)では証券アナリスト資格を重視している会社が非常に多く、若手社員や学生が保有していると一定の評価がされます。

証券アナリスト資格を得るためには日本証券アナリスト協会の通信講座を受講し、1次試験と2次試験の計2回の試験に合格すればOKです。
また、通信講座といっても教材が送られてくるだけで、授業や課題提出等は必要ないので安心してください。

「1. 難易度」でもお伝えした通り、試験合格はそこまで難しくない割に、合格すると社内でのアピールには十分使えるため、総合的に考えると証券アナリスト=コスパが良い資格(かなりおいしい資格)なのではないかと思います。

証券アナリストを取得するメリットについては、次の目次で詳しく解説していきます。

スポンサーリンク

4. 証券アナリスト資格取得のメリット

勉強中の人
勉強中の人

証券アナリストの資格って、取るのに時間かかる割に取って意味あるの?

勉強中の人
勉強中の人

証券アナリスト持ってると昇進に有利なの??

こんなふうに思われる方もいるかもしれませんが、金融機関に勤める筆者が実際に証券アナリストを取得してみて、メリットは非常に大きいと感じましたので、ご紹介したいと思います。

早速ですが、証券アナリストを取得する主なメリットは以下の通りです。

① キャリアアップのアピール材料

証券アナリストを取得する最大のメリットは、何と言ってもこれです。

金融機関(銀行や証券会社、保険会社等)に勤務している場合、特に若手社員(就活生含む)が証券アナリストを取得していると、昇格や異動、転職、就職に有利に働きます

特に、運用部門での業務を目指されている方は社内での異動の希望も通りやすくなるため、是非とも取得するべき資格と言えます。

企業の採用や人事からすると、金融や証券投資における基礎知識を備えていて、かつ資格取得に向けて継続的な勉強ができる人物であるということを客観的に判断できるため、資格保有者を高く評価することは当然だとも言えます。


証券アナリスト資格保有者の転職事情についての詳細はこちらをお読みください。

② 名刺に記載できる

名刺

続いてのメリットとしては、名刺に『日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)』等と記載できる事です。

取引先やお客様と名刺交換をする際、その肩書や資格は必ず見られますので、証券アナリストと記載できることはメリットになります。

証券アナリストの肩書があるだけで、一定の専門知識を持っていることを相手に証明することが出来ますし、金融に関する議論をする際は説得力や信用力が増すこと間違いなしです。

なお、名刺に記載できる称号は上記で紹介した『日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)』以外にも以下のものを選択できます。

公益社団法人 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
公益社団法人 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト
日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
日本証券アナリスト協会 認定アナリスト
CMA
Certified Member Analyst of the Securities Analysts Association of Japan
Certified Member Analyst of SAAJ
引用元:公益社団法人 日本証券アナリスト協会

なお、名刺へ肩書を記載するには試験合格後、日本証券アナリスト協会への入会が必要となります(実務経験必要)ので、入会の要件等の詳細については日本証券アナリスト協会のHPにてご確認ください。

③ 投資や家計管理に必要な知識が身に付く

証券アナリスト資格取得に向けた勉強を通じて、投資関係の専門用語や財務分析に必要な基礎知識や考え方をマスターすることができるため、

企業が公表するIR資料(決算資料等)から投資判断ができるようになる

家計管理を含めたファイナンス全般の知識や投資の考え方が身につく

等の多くのメリットがあります。

④目標に向けて努力できるクセがつく

証券アナリスト試験の合格難易度はそこまで高くないとは言え、当然一夜漬けでなんとかなる試験でもありません。
少なくとも合格に必要な勉強時間(例えば2次試験であれば200時間)を試験勉強に費やす必要があります。
つまり、合格という目標に対して少なからず努力する必要があるわけです。
そして、私自身もそうでしたが、実際に合格できた際はその成功体験により、自信がつき、他の目標に対しても努力できるようになるという良い効果が期待できます。

⑤時間管理力が身につく

上記「④目標に向けて努力できるクセがつく」に関連しますが、証券アナリストに合格するためにはとにかく必要な勉強時間を試験勉強に費やす事が重要になります。
そのためには、毎日のスケジュールの中に嫌でも勉強の時間を組み込んで、それを実行することが必要です。
正直「時間があったら勉強しよう」というような軽い気持ちでは、毎日勉強を継続することは難しいと思います。
なので、合格する頃には自然と時間管理力が身についています

この「時間管理力」というのは普段の仕事やプライベートでも絶対に活かせる能力です。

⑥忍耐力

私自身が証券アナリスト試験に合格して振り返ってみると、この試験は本当に忍耐力が試された試験だったなと改めて感じています。

どういうことかと言いますと、合格する難易度が高くないという表現とやや矛盾しているようで分かりにくいかもしれませんが、試験問題の難易度は本当に難しいんですよね。
変な話、全ての問題を100%解けるようになれと言われたら、一生かかっても無理なんじゃないかと思います。

要するに、非常に難しくて到底理解できないような問題に出くわしたとしても、淡々と勉強を続けていく必要があるわけで、合格する頃には忍耐力が非常に高いレベルで身に付いていることかと思います。


このように、証券アナリストを取得するメリットはビジネスでもプライベートでも大きいです。

受験しようか迷っているのであれば、まずは挑戦してみることをおすすめします。

スポンサーリンク

5. 試験概要 ※カリキュラム変更の内容含む

証券アナリスト試験の流れはやや特殊です。
後述しますが、受験資格を得るために指定の通信教育の受講が必須で、試験も一次試験に合格しないと二次試験が受けられないという「二段階選抜方式」となっています。

証券アナリスト資格取得までの大まかな流れは次の通りです。

STEP1 通信教育受講(一次レベル)

STEP2 一次試験

STEP3 通信教育受講(二次レベル)

STEP4 二次試験



また、2022年度の春試験から試験科目の再編が実施されます。
試験科目及び出題範囲の変更は下記のとおりです。

ざっくり言うと、現在の2次試験の範囲であった職業倫理等が1次試験でも出題されるというものです。どのみち2次試験で勉強する内容ですので、そこまで大きな負担増ではないと思います。

受験資格

証券アナリスト試験の受験にあたり、学歴や年齢等の制限はありませんが、日本証券アナリスト協会の通信教育の受講が必須条件となっているので注意が必要です。


1次試験

1次試験のポイントは以下の通りです。

1次試験の特徴
  • マークシート方式
  • 3科目
  • 年2回(4月・9月または10月)実施
  • 一度に1科目~3科目まで受験可能
  • 3科目とも合格しなければ2次試験に進めない

科目Ⅰ

科目1は、従来の「証券分析」と「ポートフォリオ・マネジメント」です。

試験時間…170分
問題数…98問※過去実績
配点…170点

<出題範囲>
株式や債券、さらにデリバティブを含めた投資対象の性質・理論・制度、さまざまな投資戦略、個別銘柄の価値評価などに関する理論モデルおよび計算方法などを非常に広範かつ多面的に学習します。とくに株価や債券の信用力の評価には、発行企業の収益性・成長性・安全性の分析が不可欠で、損益計算書や貸借対照表をはじめとする財務諸表を使ったファンダメンタル分析も試験内容に含まれています。
また複数の資産を組み合わせた「ポートフォリオ」は、個別資産とは異なる振舞いを見せ、さまざまな効果が得られます。この「ポートフォリオ・マネジメント」の理解には若干の統計学の知識を援用します。
「証券分析」も「ポートフォリオ・マネジメント」も理論や計算には少なからず数式が登場しますが、基本的には四則演算で事足りますので、高度な数学的知識は必要ありません。1次レベルの「証券分析とポートフォリオ・マネジメント」は、ファンド・マネジャーや証券アナリストにとって最も基礎的、かつ必要不可欠な知識を網羅しています。
引用元:資格の学校TAC

出題項目
  • ポートフォリオ・マネジメント
  • 債券分析
  • ファンダメンタル分析
  • 株式分析
  • デリバティブ分析
  • 証券市場の機能と仕組み

科目Ⅱ

<出題範囲>
投資家・証券アナリストの視点から、企業の収益性、安全性等の分析を柱とする財務諸表分析の様々な手法を学習します。なお、財務諸表分析を行うためには、個々の財務データがどのような仕組みで算定・公表に至ったのかの十分な理解、すなわち財務会計分野の知識が不可欠となります。
そのため、財務諸表の利用者としての立場を念頭に、まず貸借対照表や損益計算書といった主要な財務諸表の概要にはじまり、会計計算、特に利益計算のルールの概観について学習していくことになります。
また、2次レベルのコーポレート・ファイナンスにつながる論点として、配当割引モデル(DDM)や株式価値評価DCFモデル、残余利益モデル(RI)といった株式価値評価モデルについても学習していきます。
引用元:資格の学校TAC

出題項目
  • 財務会計総論
  • 資産会計
  • 負債会計
  • 純資産会計
  • 損益会計
  • 企業結合会計
  • 財務諸表分析
  • 株式価値評価

科目Ⅲ

<出題範囲>
公益社団法人日本証券アナリスト協会は、1次レベルにおける「経済」を①マクロ経済学(金融財政と国際経済学を含む)、②ミクロ経済学の2つの領域から構成されると捉えています。本試験においては、これらの領域を網羅するように大問4題が出題されており、各問の出題内容は、第1問がミクロ経済学、第2問がマクロ経済全般、第3問が金融経済、第4問が国際金融となっています。
このように、1次レベルにおける「経済」では、日本経済や世界経済といった経済全体を対象とする「マクロ経済学」と、消費者や生産者といった経済主体の行動や市場機構を対象とする「ミクロ経済学」を学習することとなります。
ただし、1次レベルにおける「経済」では、広範な領域をもつ一般的な経済学の中から、証券投資に関連した経済事情を論理的に分析し、今後の経済動向を予測するために有用となる論点が中心的に取り上げられています。このため、1次レベルにおける「経済」を理解する目的は、証券投資の判断において必要不可欠となる基礎的な知識や考え方を身につけることといえます。
引用元:資格の学校TAC

出題項目
  • ミクロ経済
  • マクロ経済
  • 金融経済
  • 国際金融

スポンサーリンク

2次試験

二次試験は記述式で、実務的発展問題が出題されます。
二次試験の特徴は以下の通りです。

2次試験の特徴
  • 記述式
  • 年1回(6月)実施
  • 4科目総合試験(午前210分・午後210分)
  • 「職業倫理・行為基準」で一定水準の得点がないと足切り
  • 受験資格は2次レベル通信教育受講から3年以内

なお、2023年の試験からは2次試験の出題範囲が下記のように変更されますので、ご注意ください。

カリキュラム変更(2次試験)

ざっくり言うと、各分野で出題されていた確率・統計の問題が1つの出題分野として確立されたという感じです。
これまでも学習していた内容ですので、そこまで大きな負担増ではないと思います。

Ⅰ 証券分析とポートフォリオ・マネジメント

<出題範囲>
2次レベルの学習内容は1次レベルの基礎知識を踏まえ、より応用的・実践的領域に踏み込んだものとなり、海外や外貨建て資産への「国際証券投資」、ヘッジファンドや未公開株式などへの「オルタナティブ投資」など投資対象を拡張してゆきます。
1次レベルで扱われた株式個別銘柄の評価やファンダメンタル分析といった分野は「コーポレート・ファイナンスと企業分析」の受け持ちとなり、「証券分析」よりも「ポートフォリオ・マネジメント」としての色彩がより強くなるのも2次レベルの特徴でしょう。
また、あくまでも理論中心の内容で、さまざまな経済環境を前提に「どのような資産配分、どのような投資・運用が有効か」といった視点が重要な意味を持ちます。平成20年の通信教育カリキュラム改訂に伴い、新たに「信用リスク・モデル」「行動ファイナンス」といった比較的新しいトピックも組み込まれました。
2次レベルの「証券分析とポートフォリオ・マネジメント」は、分散効果、現在価値、無裁定といった考え方を3本柱とし、最新の投資理論も貪欲に取り込みながら裾野を広げています。
引用元:資格の学校TAC

出題項目
  • 株式ポートフォリオ戦略
  • 債券ポートフォリオ戦略
  • デリバティブと投資戦略
  • 投資政策とアセットアロケーション
  • 国際証券投資
  • オルタナティブ投資
  • パフォーマンス評価
  • 信用リスクモデル
  • 行動ファイナンス

コーポレートファイナンスと企業分析

<出題範囲>
コーポレート・ファイナンス、企業分析、会計制度を中心として試験問題が構成されます。特にコーポレート・ファイナンスは、定型化された内容も多く、得点源となる領域です。
その中でも典型的な企業価値評価モデルは、株式価値評価モデルと現在価値での評価といった点は変わらず、資本コストやキャッシュフローについて概念の拡張がみられるものの、1次試験で培った知識を応用した論点といえます。
その他に資本構成の影響、配当政策と自社株買いの効果といったファイナンス理論の基礎的論点も頻出事項として位置付けられます。また、企業分析は、ROE等の財務指標の推移や動向、キャッシュフローの使途、経営・財務戦略の方向性等を財務データから紐解く実務的な内容が盛り込まれています。
さらに、会計制度は、連結会計を中心に、包括利益、税効果会計、退職給付会計等の日本の会計基準に基づいた内容に加え、国際財務報告基準(IFRS)のフレームワークについても対象に含まれています。
引用元:資格の学校TAC

出題項目
  • 株式価値評価
  • コーポレートファイナンス
  • 会計制度
  • 企業分析

市場と経済の分析

<出題範囲>
現実に起きた経済現象やGDP、金利、為替レートなどの経済変数の変化を、1次レベルで学習した「国民経済計算」「マクロ経済モデル」「金融理論および政策」「国際金融」「ミクロ経済学」における基礎知識・理論を用いて解説することや必要となる経済政策について考察することが2次レベルの学習内容となります。
例えば、景気動向指数(コンポジット・インデックス)を用いて景気の状態、物価や短期金利の動向を予想し、純粋期待仮説を用いて利子率の期間構造(イールド・カーブ)形状やその変化について考察します。また、その考察に基づいて、必要となる金融政策について検討します。さらに、予想された物価や短期金利の動向の基で、購買力平価説や金利平価説を応用し、現行の為替レートの水準やその動向について考察し、行うべき為替介入について検討することもあります。
平成20年の通信教育カリキュラム改訂に伴い、新たにミクロ経済学における「ゲームの理論」「情報の経済学」などの基礎知識・理論に基づくケース・スタディも学習内容に含まれることになりました。
引用元:資格の学校TAC

出題項目
  • マクロ経済学
  • ミクロ経済学
  • 金融政策
  • 国際金融論

Ⅳ 職業倫理・行為基準

<出題範囲>
日本証券アナリスト協会の規律委員会が制定した、「証券アナリスト職業行為基準」の各項目について学習します。証券アナリストは、単に自己の所属する業界に適用される法令・規則などを守るだけでなく、さらに高度なプロフェッショナルとしての行為基準の順守が社会的に要請されています。
「証券アナリスト職業行為基準」は、高度の知識と能力を必要とする証券アナリストが遵守すべき行為基準であり、その知識を身につけることは、専門能力の習得と並んで重要なことになります。
なお、本試験は事例問題を中心とした出題であり、「証券アナリスト職業行為基準」の各項目を、具体的な業務において起こりうる様々なケースに応用する力が問われます。
また、「職業倫理・行為基準」の得点が一定水準に達しない場合は不合格となりますので、ご注意ください。
引用元:資格の学校TAC

出題項目
  • 投資情報の提供等
  • 投資の適合性の原則
  • 受任者としての信任業務
  • 未公開の重要な情報の利用の禁止等 など

スポンサーリンク

6. 合格に必要なもの(費用)

最後に、証券アナリスト試験に合格するまでに必要な費用についてまとめておきます。

証券アナリストは結構費用がかかりますので、予め確認しておきましょう。

「必須のもの」、「あった方がいいもの」に分けて解説していきます。

先ずは「必須のもの」です。「必須のもの」は文字通り必須ということで、受験するために絶対にかかってくる費用です。これらがないと受験できません。

必須のもの

  • 通信教育(1次):60,000円
  • 1次試験受験料:12,700円※3科目分
  • 通信教育(2次):53,500円
  • 2次試験受験料:8,400円

合計134,600円(税込)と、必須のものだけでも結構お金がかかることがお分かり頂けると思います。

ただし、上述した証券アナリスト資格取得のメリットを考慮すると、決してコスパの悪い資格ではないと思います。

また、私の場合もそうでしたが、会社によっては合格後にこれらの費用が全額補助される場合もありますので、ご自身の会社の制度を確認しておきましょう。

続いて「あった方がいいもの」についてです。
これらは、上記と違い、絶対に必要なものではありませんが、合格を目指しているのであれば必要なものと言えるものです。

あった方がよいもの(1次)

  • 1次対策総まとめテキスト 「財務分析」(TAC):3,190円
  • 1次対策総まとめテキスト「経済」(TAC):3,080円
  • 1次対策総まとめテキスト「証券分析」(TAC):3,520円
  • 1次試験過去問題集 「財務分析」(TAC):4,290円
  • 1次試験過去問題集「経済」(TAC):3,960円
  • 1次試験過去問題集「証券分析」(TAC):4,730円
  • 関数電卓:2~3千円程度

あった方がよいもの(2次)

  • TAC通信講座:50,000円程度~ ※コースによる
  • 2次対策総まとめテキスト 「企業分析」(TAC):3,300円(税込)
  • 2次対策総まとめテキスト 「市場と経済」(TAC):3,080円(税込)
  • 2次対策総まとめテキスト 「証券分析」(TAC):3,520円(税込)
  • 2次試験過去問題集 (TAC):4,620円(税込)
  • 関数電卓:2~3千円程度

上記で特に重要なのは、TACの通信講座です。
1次試験対策では必要ありませんが、2次試験対策ではTACの通信講座利用を強くおすすめします。
詳細は下記の記事で説明していますが、2次試験は回答形式が記述式となり、1次試験よりも深い理解が求めらます。
また、出題範囲もとても広いので「合格率UP」&「勉強時間の短縮」のためにTACの通信講座を利用した方が良いです。

それなりに費用はかかりますが、受講料の20%(最大10万円まで)が戻ってくる「教育訓練給付金制度」等を上手く活用して確実に一発合格を目指しましょう!
教育訓練給付金制度についての詳細はこちらをお読みください。


TACの講座一覧は以下のリンクからご確認頂けます。

<TAC 通信講座>
※早期申込みキャンペーン等があるので、早目の申込みがお得です


7. まとめ

以上、証券アナリスト試験の難易度や合格率、必要な勉強時間、メリットなどについて、筆者の体験談を交えながら解説してきました。

難易度については、少しわかりにくいですが、一言で言うと「出題される問題の難易度は高いが、合格する難易度はそこまで高くない」ということです。

結論としては、証券アナリスト資格はきちんと対策をして臨めば2~3か月の学習で十分合格を狙える資格です。

受験するかどうか迷っているなら、先ずは1次レベル講座を申し込んで、トライしてみる価値はあると思います。

タイトルとURLをコピーしました